チェーンとスペルスピード
カードの応酬をルール化したシステム『チェーン』と『スペルスピード』について解説していきます。
いつも慣れでやってきたこのルールですが、解説のために言語化しようとするとけっこう大変。
マスターデュエルなら勝手に処理してくれますが、紙の遊戯王をプレイする際には間違えないように気を付けたいところです。
チェーン
遊戯王カードWiki
「チェーン」とは、魔法や罠カードなどの応酬をスムーズに解決するためのシステムで、1枚のカードの発動に対応して別のカードを発動させる行為の事をいいます。
チェーンとは?
『チェーン』とはカード・効果が連続で発動された時、円滑に処理するためのルールです。
MTGでいうところの『スタック』という概念に近いルールですね。
例えば「①特定のカード効果を発動する」→「②これを妨害するために別のカード効果を発動する」→「③さらに②を妨害するために別のカード効果を発動する」という手順を、ゲームルールとして整備した感じでしょうか。
もう少し具体的な状況を想定して、次のシーンを見てみましょう。
- クリッターのサーチ効果を発動する。
- 手順①を灰流うららで無効にする。
- 手順②を墓穴の指名者で無効にする。
この場合、灰流うららが墓穴の指名者で無効にされるため、結果としてクリッターのサーチ効果が発動できます。
この例は感覚的にも分かる範囲の処理だと思うのですが、これをチェーンの概念に当てはめるとこんな感じに。
チェーンの数(発動順) | 効果 | 処理の順番 |
チェーン1↓ | クリッターの効果を発動する | ③クリッターの効果が発動する |
チェーン2↓ | 灰流うららでクリッターを無効にする | ↑②クリッターを無効にできない |
チェーン3 | 墓穴の指名者で灰流うららを無効にする | ↑①灰流うららが無効になる |
効果の発動順にチェーン(チェーンブロック)が積み上げられ、最後に発動した効果から順番に処理をしていくのが分かってもらえるでしょうか?
この処理の流れを遊戯王では『チェーン』と呼んでいる訳ですね。
ちなみに、1枚目のカード効果を発動した時点でチェーンは1。
2枚目はチェーン2、3枚目はチェーン3……となっていきます。
これは積み上げる幸福など、チェーン数を計算する必要があるカードを使うときに重要になってきます。
遊戯王にはこのチェーンの概念があることで、モンスター効果・魔法・罠の打ち合い、サクリファイスエスケープといったプレイングも可能に。
こういったカードの応酬はゲームの面白さの一端を担っていると言っても過言ではないでしょう。
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チェーンとスペルスピード
では、次はチェーンと関係の深いスペルスピードについて。
これは遊戯王独自のルールで、MTGにはなかったりします。
チェーンを積む場合、基本的にはカード効果にチェーンして別のカード効果を重ねる(チェーンを積む)訳ですが、カードの種類によってはチェーンを重ねることができません。
- 例:モンスター効果にチェーンしてカウンター罠を発動された場合、さらに速攻魔法をチェーンすることはできない
ここで登場するのが『スペルスピード』というルール。
カードには種類(魔法・罠・モンスター効果など)によってスペルスピードが設定されており、チェーンを重ねる際には同じかそれ以上のスペルスピードを持つカードしかチェーンできません。
上の例だと速攻魔法のスペルスピードは2、カウンター罠のスペルスピードは3。
よって、カウンター罠に速攻魔法をチェーンすることができない、という具合です。
このスペルスピードには1~3がありますが、まとめみると以下のようになります。
スペルスピード | カードの種類 |
スペルスピード1 | ・通常魔法 ・装備魔法 ・フィールド魔法 ・儀式魔法 ・永続魔法 ・効果モンスター(起動効果・誘発効果) |
スペルスピード2 | ・速攻魔法 ・通常罠 ・永続罠 ・効果モンスター(誘発即時効果) |
スペルスピード3 | ・カウンター罠 |
大まかには、大半のモンスター効果・魔法カードはスペルスピード1、速攻魔法・大半の罠がスペルスピード2、カウンター罠のみスペルスピード3、という感じ。
基本的には、自分ターンにしか使えないカード効果はスペルスピード1、相手ターンにも使える効果はスペルスピード2以上、という理解で問題ないかと(モンスターの誘発効果は相手ターンにも使えますが)。
また表にあるように、一部モンスター効果はスペルスピード2のものが存在します。
これらは相手ターンにも発動することができ、テキストでも「この効果は相手ターンでも発動できる」・「自分・相手ターンに~」のように表記されています。
チェーンの積み方と優先権
ここまでの解説を踏まえ、チェーンの積み方を話していきます。
遊戯王では、スペルスピードさえ守っていれば好き勝手にチェーンを積んで良い、という訳ではありません。
なぜなら対戦には必ず自分の他にもう一人、相手となるプレイヤーが必要だから。
チェーンを積む際は対戦相手も同様にチェーンを積む権利があり、ゆえに自分だけが勝手にチェーンを積んではいけないのですね。
とはいえ、プレイヤーが二人いると「どちらがチェーンを積むのか?」という問題が発生してしまいます。
その問題を解決するのが『優先権』というルール。
これがあることで「どちらが優先的にチェーンを積む権利があるのか」が明確になっています。
まあ、そんなに難しいルールではなくて、「カードの効果を発動したら優先権は相手に移る」程度のことなんですが。
例えば、自分がカード効果を発動した場合(チェーン1)、優先権は相手に移ります。
ここで相手がカード効果を使えば、チェーン2には相手のカード効果が積まれ、何もしなければ再び自分に優先権が移り、もう一度カード効果を使う権利が得られます。
こうしてカードを使う権利を往復させるのが『優先権』です。
優先権は他の状況でも使われる用語ですが、チェーンに関してはとりあえずこれぐらいの認識で大丈夫でしょう。
複数の効果が同時に発動した時の処理
チェーン・スペルスピード・優先権が理解できればチェーンの積み方に関してはだいたいOK。
あとは複数の効果が同時に発動した場合のチェーン処理について触れておきます。
例えば、シャドールデッキで隣の芝刈りを使うと、複数のシャドールが同時に墓地に送られ、同時に効果が発動してしまいます。
そういう時にどう処理すればいいのか? という話ですね。
上記のような状況の場合、自分で好きな順番にチェーンを積むことができます。
この時、相手は途中でチェーンを挟むことができません。
自分のシャドールA・B・Cが同時に墓地に送られて効果を発動した場合、まず自分でチェーンの順番を決め、その後で相手はチェーンを積むことができます。
ちなみに、この例は「直接チェーンして発動・または効果を無効にする効果」からカードを守る際に重要となるルール。
例えば灰流うららはひとつ前のチェーンに積まれた効果しか無効にできません。
そのため、チェーン1:シャドール・ヘッジホッグ→チェーン2:シャドールB→チェーン3:シャドールCのようにチェーンを積むと、うららでシャドール・ヘッジホッグのサーチ効果を無効にすることができません。
複数のカードが同時に発動する状況は稀によくあるので、覚えておくといいでしょう。
また、自分・相手が共に複数のカード効果を同時に発動した場合にどうするのか。
シャドールのミラーマッチで手札抹殺を発動した時なんかが当てはまるでしょうか。
この際、一時的にスペルスピードは無視され、以下の順番でチェーンを積んでいきます。
- ターンプレイヤーの強制発動する誘発効果
- 非ターンプレイヤーの強制発動する誘発効果
- ターンプレイヤーの任意発動できる誘発効果
- 非ターンプレイヤーの任意発動できる誘発効果
例えば、自分ターン中、自分の手札にシャドールA・B・C、相手の手札にシャドールD・E・Fがある時に手札抹殺を使った場合、チェーンの順番は自分がA・B・Cを決め、そのあとで相手がD・E・Fの順番を決めることになります。
結果、チェーンの順番は「A→B→C→D→E→F」または「B→A→C→F→E→D」といった具合に。
自分・相手共に複数の効果が同時に発動することは稀有だと思いますが、遭遇した時にも慌てず対処したいですね。
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